第44章

紬は唇をきゅっと結び、雪乃を見つめた。

雪乃と継母の顔は似ても似つかない。けれど――その表情だけは、嫌というほど見覚えがあった。

あの人もいつも、こういう顔をする。そして決まって、パパが振り向いて紬を怒鳴るのだ。

……紬、なにもしてないのに。

紬ははっきり言った。

「紬、押してない。雪乃おねえちゃんが、ひとりで転んだ」

雪乃は唇を噛み、悲しそうに目元をぬぐう。こすりすぎて目のまわりが赤くなったまま、うんうんと頷く。

「うん……うん。紬ちゃんはわざとじゃないよ。ぜんぶ、雪乃が悪いの……」

紬はまた唇を結ぶ。

ほかの子なら、たぶん何が起きたのか分からずにぽかんとしてしまう。

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